第9章 吐露Ⅰ
[あ…ごめん…ちゃん…!]
条くんが申し訳無さそうに謝る
離れようと抱きしめていた手を離そうとするけどそれを阻止するため背中に手を回す
正直言うとくっついていたかったのだ人肌恋しかったのかもしれない
子どもぽい理由だとは思うけど
[このままでだめ……?]
顔を胸にうずめながらお願いしてみる
(恥ずかしい……かもだけど…)
(離れたくない)
自分でもなんでなのか分からない
ただこの温度に浸っていたかったそれだけだったのだ
[う…うん……ご…ごめん…]
[わかったぁ…いいよぉ…]
顔が見えないからだけど了承してくれたようだ
今思うとなんてお願いをしたんだと恥ずかしくなるが
[ん…ふふふふ…謝らないでよ条くん]
[私がお願いしたんだから…]
[あ〜…うんそうだね…うん…]
(ふふ……どうしてか笑ってしまうなぁ)
私からお願いしたことなのに謝るなんておかしくて笑ってしまう
後から振り返ってみると軽率だったのは否めないが
条くんだから安心して身を任せていたんだろうけど
でもそのおかげというべきか
背中に羽でも生えたかのように体も軽くなったように感じる
さっきとは違って重苦しい感じがなくなって来はじめていたのだ