第27章 一歩Ⅰ
[…………じょ…………]
息もつかせずガバっと抱き寄せられる
さっきよりも力が強くて苦しく感じるほどに
背中まで手を回され振りほどくことも難しい
(……………離れられない……)
本当なのだろうか
信じていいのだろうか わからない
彼だから大丈夫だと思っていたのに
(大丈夫ってなに)
私条くんを馬鹿にしていたんだろうか
好きな対象として見られてないからって
頭がグルグルするずっと同じ言葉が木霊する
好きだなんてそんなの違う
違う
違う
きっとそれは親愛の情に近いものそう思わずにいられないのにけれど追い打ちをかけられる
[…………卑怯なことしているのはわかってるぅ…]
[でもこの気持ちは生半可じゃないんだ]
[……ちゃん………]
か細い声を出して訴える私の瞳を見て逃さないと
その表情はまるで
(……………ああ)
本気だ
鈍感な私も理解できるもの
彼は私に目を背けずずっと寄り添ってくれていたのに
(……………………………)
だとすると
私は
[私は…………………………]