All is Dream Box【春パワー全開】*短編集
第14章 mumu/桜咲く頃に……
「悪い。待たせた」
「……ぷっ。あの時と同じ」
「うっせ」
私たちは駆け寄り、力強く抱き締めあった。久しぶりに感じた温もりに、自然と涙が込み上げてくる。
「連絡、遅いよ……」
「……ずっと、したかった。けど、お前の声聞いたら……バスケどころじゃなくなる。……会いたかった」
肩に顔を埋める流川は弱々しくて……。
ギュッと彼の体を強く抱き締めた。寂しいのは、私だけじゃなかったんだ。
「……、これからはずっと一緒に居れるんだろーな?」
ズイッと顔を私の前に出し、彼は真っ直ぐ見つめた。その問いに黙って頷くと、そのまま唇を奪われた。
「……もう離れねぇから、ずっと側にいてほしい……。、好きだ」
「私も……好きだよ、楓」
桜咲く頃に、思い出すのは君との別れと出会い(再会)。あの寂しい日々が二人をグッと近付けてくれた。きっと、これからも私たちは同じモノを見て、同じ季節を過ごしていくだろう。
「、桜の花びら付いてんぞ」
「え? どこ?」
チュッ……
「……ウソ」
~桜咲く頃に……~【完】