All is Dream Box【春パワー全開】*短編集
第13章 munu/募る思い
「……誰だよ、こんな時間に……。喧嘩の誘いなら他あたれ」
「ばんわ。流川っス」
「あ? 流川? ……流川? あー!! アメリカ行った流川か! どした? 日本が恋しくなったか?」
……俺。何で、この人に頼んだんだろ……。
「……アレ、渡した?」
「アレ? ………ヤベッ! すっかり忘れてた! 今日、渡す! 何か伝える事あるか?」
「……もう少し経ったら連絡する」
「は? それだけか? 他に言うことあるだろ? 好きだー、とかよ」
「……頼んだっス」
「あ、おいッ!」
通話終了ボタンを押し、眠らない街に視線を戻すと、ため息が漏れた。
アイツに会えるのが羨ましい。顔を見て話せるのが妬ましい。手を伸ばせば届く距離に居れるのが、何よりも悔しい。
バスケの事だけ詰め込んでも、少しの隙間にお前は入り込んでくる。……ダメだ。
「……会いてぇ」