All is Dream Box【春パワー全開】*短編集
第12章 mumu/募る寂しさ
私に手渡してきたのは小さな茶封筒。
「何ですか? これ」
「開けてみ。俺も中身、知らねーんだ」
三井先輩は、渡してほしいって頼まれただけらしい。……一体誰から?
「……あ、ミサンガ。ん? 手紙?」
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へ。
何書けばいいか分からん。
とりあえず、それ付けとけ。
……俺も付けてる。
寂しい思いなんは、お互い様だ。
……声だって聞きたくなる、はず。
(行く前に書いたから分からん)
……高校卒業ん時、帰る。
お前が望むなら一緒にアメリカ……
んの前に、伝えたい事がある。
待ち合わせは、中庭の桜の木の下で。
流川 楓
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ズルいよ……。こんなの残していくなんて。私は何も渡せなかったのに……。
「何て書いてあった?」
「三井先輩には、教えません!」
「渡したの俺なんだし、聞く権利あるだろ!?」
「……私、アメリカの大学に行きます! いっぱい勉強して。だから家まで送ってください!」
「……そうか。頑張れよ! しゃっ! 帰るぞ!」