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君の隣で ~好きなのに、好きだから~【最遊記夢】

第2章 新学期開始


「うぇぇぇ…!!」

 この世の終わりかと言わんばかりの声をあげながらも掲示板の前に立つのは真綾だった。

「…ねぇーぇ!そんな声出さないでよ。」
「だって…!だってぇ!!」
「私と三蔵が一緒で真綾が違ったって、クラス横なんだし。」
「そうかもしれないけど…!だけど……」

 そう二人が話しているとキャーッという黄色い声と共に後ろから声がした。

「何朝からグダグダ言ってんだ?」
「あ、おはよー、三蔵」
「おはよう、一菜。で?こいつはなんなんだ?」
「あれよ、あれ」

 そう言って一菜は掲示板を指さす。しっかり見る事も無く察したと言わんばかりに三蔵は小さくため息を吐いた。

「…下らん。たかだかクラスが離れただけの事だろうが」
「たかだか…?今なんて言った?三蔵……」
「たかだか離れただけ」
「そりゃ、三蔵と一菜はいいよ?おんなじクラス…三年間ね?私最後の最後で離れたんだよ?卒アルとか重要なのに?」
「フン…お前の重要性なんざ知らねぇな」

 そう言い放つのは地毛の金髪、三蔵だった。

「修学旅行、体育祭、文化祭、ぜーーーーんぶ!!私だけのけもの……」
「俺は生徒会の仕事に振り回される。」
「おや、振り回されるのは僕の方だと思うのですが?」

 そう声のする方に顔を向ければ、にこやかに笑っている八戒と悟浄がいた。

「…フン…八戒か…」
「おんやぁ?俺も居るんですけど?」
「お前なんざ知らねぇ」
「冷たいなぁ。」
「知らん」
「まぁまぁ、あ、三倉先輩おはようございます」
「おはよう!八戒君」
「とりあえず…青木先輩?三蔵お借りしてもいいですか?」
「俺は物か」
「解らず屋の三蔵なんかあげる」
「おい、てめぇ…」

 ふふっと笑いながらも八戒の後を着いて行く三蔵を見送る真綾に一菜。

「全く…またいじめてたんですか?」
「いじめたというなら俺じゃなくてクラス分けを決めた教師だな」
「というと?」
「自分だけクラスが別れたのが気に入らんらしい」
「おやまぁ、悟浄が聞いたら泣くセリフですね」
「それこそ知らん」

 小さく笑う八戒とポケットに手を入れたままの三蔵はいつしか並んで体育館に入っていくのだった。
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