第5章 球技大会
「じゃぁ、まずは実行委員だが…」
そう言う声を聞いて真綾は手を挙げた。
「はーい、やりたい」
「良いのか?!」
「マジ?青木やんの?」
「え、何で?」
「だって放課後とか役員会みたいのあんじゃん?」
「毎日じゃないじゃん?それに木曜とかでしょ?部活のない日」
「それもそうだけど…」
そう話している間にも美堂は名前を書き出した。
「もう一人、誰かいない?」
言っても誰も手をあげるものはいなかった。
「居ないんならくじにするぞ?」
「はーい」
そうして仕方なく…と言わんばかりにくじ引きにて決め始めた。そうして決まったのはクラスで特別大人しいと言われる男の子だった。
「…あの、よ、よろしく」
「よろしくね!杉本君!」
「は、はい」
そんな話をしながらも放課になった時。真綾は杉本に声をかけられた。
「あ、あの…青木さん」
「ん?あ、杉本君!よろしくね!」
「あ、えっと…こんな僕が一緒で…ごめんね?」
「ごめん…えと、何で?」
「ほら、青木さんって人気だから」
「それはないない!」
けらけらと笑いながらも真綾は明るく答えた。それを見て杉本は少し照れたように顔をそむけた。
「…?どうかした?」
「べ、別に!!」
こそこそと移動していく杉本を見て、真綾は頭にクエスチョンが大量に発生した。
「……やはりな」
あたかも探偵化の様に瑠衣が真綾の近くにやってくる。
「どうした?」
「ずっと思ってたんだよね」
「へ?何を?」
「杉本って真綾好きじゃない?」
「それはないない」
「何で?」
「だってそんなに接点ないんだよ?今回の実行委員がほぼ初位!」
「その接点はあまり関係ないと思うけど…?」
「だってよく相手を知ることなく好きにはならないよ」
「それは真綾の視点ね?」
ビシッと指をさす様にして真綾に突き付けた瑠衣。
「でも、まぁ?真綾は玄奘しか見えてないか」
「へ?三蔵?何で?」
「好きでしょ?」
「嫌いじゃない」
「や、そうじゃなくて」
恋心、という意味合いで聞いている瑠衣に気付いた真綾は首を小さく左右に振った。