第5章 その後
「ちょっとね、話したかっただけよ。元気だった?」
「はぁ、まぁ、普通ですけど……」
少し前まで、メカニック担当の臨時スタッフとしてぼんさん宅に行くことはあったが、わざわざ私に会いに来たということは何かワケありな気がした。
私は周りに誰もいないことを確認し、声をひそめて問いかけた。
「……何かありました? 幽霊のこととか」
「あー、いやいや、違う違う! そんな深刻な話じゃなくて」
大袈裟に手を振るぼんさんは、目を見開いて本当に違うんだと言ってきた。ならいいのですが、と私が答えようとした時、おらふくんがこんなことを言い出した。
「アレですか? ぼんさん、最近使ってるキャラクター変えたから守護霊さんも変わったんじゃないかって心配してた話」
「おらふくん、そこはシーッ」
正直者なのだろうおらふくんがそんなに包み隠さず話したことにぼんさんは慌てた様子で制しようとしたが、聞いてしまったからには聞かなかったことは出来なかった。
「少しならお話出来ますよ……?」
こんなに幽霊にポジティブな会話が出来るとは思わなかったので私はそう言った。途端にぼんさんが明るく笑い、おらふくんもにこりと微笑んだ。
「ありがとありがと。でも無理にとは言わないから、ね?」
「いえ、そんな無理して話してる訳じゃないですし……」
ぼんさんだけでなく、彼ら五人と話すのは結構楽しいと感じている。それは彼らがゲーム実況者で、話すのを仕事とするからだろうか。
「とりあえず、休憩室に行きましょうよ」
そうおらふくんが提案してくれて、私たちは休憩室へと向かった。