第8章 おや?◯◯の様子が・・・?
朝練、午前授業が終わり、昼休み。
「永瀬ー!飯ー・・・あれ?」
チャイムと同時に体育館へ移動する。
いつも一緒に食べてる翔陽には悪いが、ちょっとやってみたいことがあった。
みんなの練習の邪魔するわけにはいかないから、この時間だけ。
『ちょっとだけ・・・』
実は先日の練習試合中、猫又監督に言われた言葉が頭から離れなかった。
「もし興味があるなら遊びでもいいから始めてみなさい」
トントン
ちょっとドキドキ。悪いことしてる気分だ。
体育館で1人、バレーボールを触ってみる。
昔、お姉ちゃんがまだ家にいたころだけ。
実は少しだけやったことがあった。
でも場所は家の庭で、2人でレシーブし合うみたいな感じ。
やってみたかったんだよなぁ、ジャンプサーブ。
『ふぅ・・・』
息を整えて、見様見真似でボールを上に高く上げる。
コートを引っ張り出すわけにはいかないから、向こう側は壁。
『よっ』
スカッ
ボトッ
『いたっ』
案の定ボールは空振り頭の上。
『やっぱ上手くいかないよねぇ〜』
1人でぼやきながらボールを拾いポン、ポンとボールで遊んでみる。
この音、ボールの感触、いいなぁ・・・。
選手とか、試合とかはまったくやろうと思わないけどこうして時々1人でこっそり・・・
ガラッ
「永瀬?」
「なにしてんの・・・」
『ひぇっ!?!?!?』
1人だと思ってた体育館の扉が開き、姿を見せたのは蛍と忠。
『なっ!?い、いつから・・・』
「下手くそなジャンプサーブしてるところから」
『さ、最初からじゃん・・・』
「教室行ったら永瀬がいないって日向が騒いでたから」
『よくわかったね』
「ツッキーが「山口うるさい」・・・ごめんツッキー」
「で?」
『う』
「何でこんなとこで1人でボールで遊んでるわけ?」
『い、いやぁ・・・。バレー楽しそうだなあって、何となく?』
「こそこそ隠れて?」
『・・・みんなの練習止めたりするわけにはいかないし?』
「ふーん」
「ま、まさか!やっぱり女子バレー部に入るとか!?」
『!?そんなわけ無いじゃん!無理無理!!』
「「・・・・・」」
そんなあたしたちの会話を2人、こっそり聞いてる人がいたとは思わなかった。