第5章 リベロとエース
確かにブロックには当たった。
当たりはしたがそれを押し通して決まるスパイク。
すごい。このパワーが烏野に加われば確実にもっと強くなる、そんな確信を持てる。
「うひゃあ〜っ!すんごい音!!ドガガって!!」
『ほんとにすごいですね!かっこいい〜〜!!』
感動して武田先生に共感する。
チームの雰囲気も良くなってきた。
完全復活間近って感じかな?
でもやっぱり負けてない烏野チーム。
ドパッ
すかさず飛雄と翔陽の速攻が決まる。
試合の最初より、もっと早い速攻。
それを見て感動する旭先輩と夕先輩に加え、ボールを見ていない翔陽と的確にトスをあげる飛雄を変人呼ばわりしている。
しかしやはり安定感と攻撃力のある町内会チームが優勢。
試合は進み、翔陽が旭さんをマークするローテになった。
スパイクをしようとする旭さんの高さまで飛び上がる翔陽。
スピードとジャンプ力では負けないもんね!
ドバチィッ
翔陽の手には当たったが、やはりそのすごいパワーでタッチアウト。
自分の手を見つめる翔陽は、何かを考えてるように見える。
『手、痛かったかなぁ?そりゃ痛いか!でもなんか・・・?』
「どうしたの、永瀬」
『あ、いや・・・、気のせいかな。何でもない!』
あたしの独り言に忠が反応するが、あたしもその違和感の正体がわかってないので誤魔化す。
そしてそのまま1セット目が終了した。
時間がかなり押してるので、そのまま試合続行になるようだ。
バガァンッ
「!?ばっ・・・」
「うわぁぁぁぁあ!?」
「ギャーッ」
『しょ、翔陽!?』
物凄い音と共に吹き飛ぶ翔陽。
旭さんのスパイクが顔面直撃したように見えたけど・・・?
慌てて駆け寄る。
「・・・っ、う〜」
「あ、生きてる」
『翔陽、大丈夫?』
顔を覗き込んでみると、おでこが赤くなってはいるが音の割には大丈夫そうだ。
「大丈夫かぁぁぁ、ゴメンなぁぁぁ」
「どう考えてもボケッとしてたコイツが悪いでしょ」
「きゅ、救急っ、きゅうきゅうっ」
「落ち着けよ先生」
平謝りする旭先輩、鋭いツッコミの蛍、動揺する先生。
他の周りのみんなもかなり動揺している。
「あ、だいじょうぶです、スミマセン・・・」
起き上がれるし、頭に強い衝撃を受けた時の危ない特徴もなさそうだし、無事そうでよかった・・・。