第4章 北風と太陽〜居場所のない家庭生活
ガタンゴトンと列車が走る音が響く。
ここは東京都 新橋ー。夜になるとサラリーマンやOLが交差点を行き交い居酒屋はどこもかしこも混んでいた。
「はぁー。」
私はビールを飲みながらため息をついている。
しがないサラリーマン歴24年。今年で54歳の私には家族がいるのだがなんだか当たり風が冷たく感じる。
私の名前は旗本育造。妻と中学生の息子と高校生の娘がいる4人家族だ。
新婚だった頃や子供が小さかった頃は仲睦まじくそれなりに家族としてやってきたが、今は私への当てつけや冷たい視線に嫌気がさす日々だ。
中学生の息子は反抗期真っ盛りで全然、私と会話をする気はないようだ。そして高校生の娘は髪の毛を染めてギャルメイクだっけか?しており、某ギャルのファッション雑誌で活躍している。
別に勉強さえしていればギャルになろうが人様に迷惑だけかけなければいい。しかし、私が残材に扱われるのが嫌なのだ。
それは突然の如くやってきた。
息子が中学1年生になったばかりの頃だった。小学6年生までは普通に息子と会話できていたのに私が話しかけると頭をかきながら息子が言った。
「いちいち話しかけてくんな!うるせーよ。」
「えっ?いやっ、だって去年までは普通に会話できてたじゃん?どうした急に?」
私があたふたして息子に聞くとムッとして息子が付け足した。
「さっきも言ったんだけど?聞いてなかったのかよ?うるせーよ。てかうちのクラスの男子で父と会話してるやついねーの。どけよ。」
息子はそう言ってスタスタと部屋を出て行った。