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桜に導かれて【刀剣乱舞※R18】

第7章 垣間見える②



 前田藤四郎を部隊長にした第2部隊が出陣から帰ってきたあと、手伝い札を1枚だけ消費し、4つ全ての手入れ部屋を稼働させて即刻手入れを終わらせた。あとのことをこんのすけと加州清光、薬研藤四郎に頼んだあと、わたしは再び先生の本丸へと戻った。もちろん先生はブチギレており、わたしはこっぴどく叱られた。まだ傷が完治していないからと途中で薬研くんが止めてくれなければ、あと2時間は説教されていただろう。ちなみにわたしのことを引き止めなかった加州くんは、外出から帰ってきた先生に一発殴られただけで済んだらしい。

 閑話休題。

 あの騒動から10日後、わたしは日々任務に勤しんでいた。そして今日も夕方の演練を終えて本丸に帰ろうとしたのだが。わたしが受付にタブレットを返却している最中に、誰かが刀剣男士たちに絡んでいた。大包平と入れ替えで部隊に入った鯰尾藤四郎が上手いことあしらってくれているようだが、その後ろに居る髭切は我慢の限界らしい。既に本体に手をかけており、斬りかかるまでに間に合わないと判断したわたしは、咄嗟に防御結界を刀剣男士たちと何者かの間に展開する。
 急いで駆け寄り、刀剣男士たちに絡んでいた人物が誰なのか分かって、わたしは一瞬怯んでしまった。

「申し訳ありま、っ、」
「なーんだ。やっぱりお前のとこの刀剣男士だったんだな、初音。」
「……。」
「片親知れずの蛮人が審神者を務めるのにちょうどいい、野蛮な刀剣男士たちだな。人間に向かって刀を振るうなんて、どんな躾をしていたらそうなるんだ? まあ、お前みたいな『人外』なんかに、俺たちみたいな『人間』の感覚なんて理解できないだろうけどな。」

 そう言って鼻で笑った人物の名は、大功(たいこう)。わたしと同い年の男子で、審神者養成学校を同時期に入学・卒業した同期でもある。そしてこの大功の父親こそ、わたしが現在進行形で『揉めて』いる相手なのだ。
 下手に神経を逆撫でするより、さっさと頭を下げてさっさと気分良くなってもらった方が良いと判断したわたしは、わざとらしく深々と頭を下げた。

「申し訳ありませんでした。」
「謝れば済むと思っているのか。相変わらず浅はかな考えだな。」

 大功の返答を聞いて内心ため息をつく。


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