• テキストサイズ

桜に導かれて【刀剣乱舞※R18】

第5章 呪いの猫



一週間後

 この一週間でわたしは六口の刀を顕現した。短刀は前田藤四郎と愛染国俊に加えて、秋田藤四郎、五虎退、乱藤四郎の三口を。脇差は骨喰藤四郎を新たに顕現し、本丸はかなり賑やかになった。もちろん前田藤四郎や愛染国俊にしたように、秋田藤四郎や骨喰藤四郎たちにもこの本丸の事情は説明してあるし、同じ対応をしている。それでも彼らはわたしのことを『主』と慕ってくれて、本丸の運営にも全面的に協力してくれている。無条件に信頼されていることに後ろめたさを感じながらも、彼らは既に十分に働いてくれているため、わたしも審神者として彼らの働きに応えなければと改めて気合いを入れながら日々の業務に当たっている。
 ちなみに、前田藤四郎や秋田藤四郎などの最近顕現した刀たちがしてくれている働きというのは、出陣や遠征のことではなく、ましてや内番のことでもない。過去に審神者から虐待されていたと理解しながら、それでもこの本丸に居る刀剣男士たちと積極的に関わってくれていることだ。特に顕著な変化が見られたのは、粟田口派の長兄である一期一振と、同じく粟田口派の博多藤四郎だ。
 一期一振は出陣と演練のみ協力してくれていたが、前田藤四郎や秋田藤四郎に誘われて内番を手伝っていた影響か、追加で協力してくれることになったのだ。博多藤四郎の方は相変わらず何もしていないが、こんのすけの話によると食堂でみんなと一緒にご飯を食べるようになったり、内番を手伝うようになったりと、それまで引き籠もっていたのが嘘のように活発的になったらしい。

 いい傾向だなとホクホクした気持ちで、乱藤四郎と骨喰藤四郎が提出してくれたアンケートの回答を集計結果に反映していると、加州清光が離れを訪ねてきた。わたしが入室を許可すると、襖戸を開けてそのまま柱に体重を預けながら話しかけてくる。

「最近顕現した刀のことなんだけどさ、いつ出陣させるの?」
「もう少し他の刀との練度差が縮まってから、ですね。検非違使が出現すると大変ですから。」

 それに注文した御守りが届かないし、という言葉は飲み込んだ。わざわざ加州清光に言う必要がないからだ。その加州清光は、わたしの主張を理解してくれたらしい。特に何も言わず次の話題に移ろうとしたが、庭先に前田藤四郎と博多藤四郎が現れたためそれは叶わなかった。
 一方わたしは、突然の出来事に思わず慌ててしまった。


/ 94ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp