第3章 初演練
【 初音 side 】
あれから二日後 ─── 。
就任5日目を迎えた今日、ようやく避妊薬の副作用が治まったため、今度こそ本当に任務に取り掛かることができる。一昨日に加州清光とこんのすけが集計してくれたアンケート結果を元に、内番の担当とその他当番制にしたものの当番を決め、そして行き詰まった。部隊は既に第五部隊まで使用可能な状態のため、本丸を運営していく上で困るようなことはないのだが、問題は誰をどこに選ぶかだった。
「(高練度太刀勢……。ものの見事に、全員出陣と演練しか希望出してないな……。まあ、仮に彼らを第一部隊にするとして、そうなると必然的に彼らの兄弟刀辺りに刀装なしで遠征に行ってもらうことになる訳で……。果たしてそれを彼らがどう思うのか……。)」
ゲンドウポーズで百面相をするわたしを見かねてか、こんのすけが声を掛けてきた。
「……そこまで迷われなくてもよろしいのではありませんか? 本人の希望を聞くためのアンケートだった訳じゃないですか。それに従って部隊を編成しただけなのに、他の方が文句をつけるのはお門違いでは……。」
「問題はそこじゃなくて、最初の内は刀装なしで遠征に行ってもらわなきゃならないってことなんだよ。何の備蓄もないから致し方ないにせよ、それを兄弟刀……、特に一期一振がどう思うか。想像しただけで寿命が縮まりそう……。」
わたしがそう言うと、二日目の夜のあの出来事を思い出したのか、こんのすけは苦い表情を浮かべる。そんなつもりで言ったんじゃなかったんだけどなと反省しつつ、迷っていても仕方ないため彼らが納得してくれる方法はないかと考える。
「うーん……、どれもリスキーなんだよなぁ。」
「貴様、何をそんなに迷っている!!」
「!?」
「もう五日だぞ、早く出陣させろ! 俺は強く……、何をする鶴丸! 降ろせ!!」
降ろさんか!!という叫び声と共に鶴丸に担がれて離れから去っていく大包平。そんな大包平を見てニコニコしながら、「邪魔したな」と言って戸を閉めた鶯丸。
未だにドキドキしている胸を押さえながら、わたしはこんのすけに話しかけた。
「……ねえ、こんのすけ。」
「はい、審神者様。」
「初心者パックの松っていくらだったっけ。」