第2章 〜夕闇の彼方より〜
右の袖を広げると同時に鈴の音が響く。
着物の花達が飛び出し、
現実とあの世の境目がなくなっていく。
綾瀬side-
次に目を覚ました時は木のボートの上だった。
綾瀬「ちょっと!早く家に返してよっ!」
夏梨「貴方はもう帰れない。」
綾瀬「え、どこに連れていくつもり?!」
夏梨「地獄。」
綾瀬「そ、そんな、お願い、お願いします!うぅ...ひっぐ!うぅ...」
泣き喚く少女を乗せてボートは川を進んでいく。
その先には大きな地獄の門。
彼女はもう帰れない。
夏梨「この怨み、地獄へ流します...」