第1章 ベトベト事件
「うん、セット準備オッケ〜」
私はまふまふさんのマネージャーをしている七崎ゆめ。たった今、何人かの歌い手さんたちと披露するライブ会場のセットを確認したところだ。今日はここで、まふまふさんを含める複数人の歌い手さんたちとリハーサルをやる予定なのだが……。
「まふまふ、遅くね?」
「異世界と通信中だったりして」
なんて歌い手さんたちの会話や冗談が飛び通う。
確かに、まふまふさんといえどリハーサルの時間になってもまだ舞台に姿を見せていなかった。どうしたんだろう、と私はまふまふさんの控え室に向かう。