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露花の恋【進撃の巨人】

第2章 Episode 00



調査兵団へ入団してから数年後、エミリー達もすっかり調査兵としての生活に慣れ、新兵を迎える立場となっていた。

班の編成は班長がエルヴィンのまま、エミリー達若手中堅5名とと新兵の1名という若い顔ぶれだ。先の壁外調査で奇行種が出現し、その対応で多くのベテラン兵士達の命が散った。エミリー達が夢見た自由な世界は、美しく壮大で、残酷なものだった。


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ある日の昼下がり。訓練の合間に頼み事をされたエミリーは、エルヴィンの元へと訪れた。

「班長、憲兵団のナイルさんという方から預かり物をしました。班長とご友人...だそうで、この手紙をエルヴィン班長にと」
「....あぁ、悪いな。私用の手紙だ」
「じゃあ私はこれで」

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「ねぇ、エミリー...! エルヴィン班長の部屋で何話してたの??」
「....スーザン、何でそんなにニヤニヤしてるの...」

エミリーがエルヴィンの部屋から帰ってくると、スーザンは愉快そうな面持ちでエミリーのことを迎えた。このところ、彼女はずっとこうなのである。エミリーとエルヴィンが話しをするたびにこっそりと茶化しきては、一人で楽しそうに空想の世界を広げている。


「上官の部屋に呼び出されて秘密の逢瀬....安心して、誰にも言わないから」
「何言ってるの」
「いつも貴方を見つめる彼の視線は情熱的で.憂いを帯びている....」
「スーザン....スーザン...! 勝手に妄想しないで、私はただ班長の友人から預かった手紙を渡しに行っただけ」
「何だ、つまんないの」
「つまんないのって...はぁ」

エミリーは意味がわからないでいた。そもそも、訓練や壁外調査の準備に追われる忙しい日々の中で、彼らに色恋などという時間を過ごす余裕はない。

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