第4章 引っ越し
フローリングのLDKは
広さが13畳あるから。
彼に譲って貰った、
50インチのサイズの
テレビは丁度いいサイズ感だ。
床の上のままなのが、テレビにも
彼にも申し訳ないのではあるが。
部屋の中央に敷いたセンターラグの上に
家で使っていた80×60センチの
コタツをテーブルとして置いただけだが。
ふたりでご飯を食べたりするには
ちょっと小さい様な気もするな…。
『このテーブルでも使えそうな、
ローソファか、2人掛けの
座椅子でも…買いましょうか?
折角これだけのリビングがあるのに。
一緒にゆっくり寛げる場所が
あったらいいなぁ~って思いますしね』
彼の分はスーパーで
別に買い足した蕎麦を
1玉足した、2倍…大盛りの
エビ天とかきあげとお揚げの乗った
豪華な特製引っ越し蕎麦が完成して。
それを一緒に小さいテーブルを
挟んで向い合せで食べて。
デザートにって買ったプリンも頂いた。
その後は…、
床に置いたテレビを観ながら。
身体を預ける場所がないので
壁に並んでもたれ掛って居たから。
確かに…ご飯食べるだけの時間なら
ラグとテーブルだけで良いけど。
こんな風に寛ぐなら、やっぱり…
ソファか…座椅子が
リビングにはあった方が良いなって。
そんな事を巴が考えていると。
『巴さん…さっきした約束、
忘れて無いですよね?』
さっきの約束…と言う
彼からの言葉に巴は
自分の記憶を巡らせて。
キスは…お夕飯が済んでからと
彼にお預けをしたままだった事を
巴は思い出した。
「あ…ッ」
『その感じだと、僕に
言われるまで完全に忘れてましたね?』