第27章 城崎温泉の…夜
この…モルトを焙煎させているから。
だから黒ビールにはコーヒーの様な
味がすると言う訳だ。
カニビールは…色は
見慣れない色をしているけど、
ほんのりとした甘みがあって。
色程クセは感じない。
『黒いのも、黄色いのも
美味しかったですけど、
カニビールも美味しいですね…』
「クラフトビールって癖があるから
飲みにくいから嫌って人も、
甘さがほんのりあるから
飲みやすいね…でも…」
確かに美味しいし
カニとも合うんだけど、
やっぱり美味しいカニを食べるなら
日本酒がいいなぁってなって。
地酒の飲み比べセットを
2つ注文する事にした。
『カニ食べてると…無言になりますね』
丸々の姿の茹でガニがあるので、
食べられる様に解す作業に
集中してしまうから
どうしても…無言になってしまいつつ。
『巴さん…,
カニ刺し食べないんですか?』
「カニ刺しは地酒が来てから…ッ」
そんなやり取りをしつつ
茹でガニを食べていると
良い感じに出汁が温まって来て。
一人鍋の中にカニスキの蟹と野菜を入れる。
『美味しいですね、カニ』
「うん、やっぱりカニは
冬の王様だね…、美味しい…」
『職場の年配の人とかは…
カニを食べたいなら、城崎じゃなくて
竹野とか、香住に行けって言うんですよ』
「でも…城崎の温泉街も
ぶらぶらしながら、
食べ歩きするのも楽しいから…
そっち行っちゃうと…
城崎の温泉街は
ゆっくり堪能できないもんね…」
そんな話をしていると
木製の土台にグラスが3つ
並んでいる地酒の飲み比べセットと
焼きガニが運ばれて来て。
焼きガニの香ばしい香りが
何とも食欲を刺激して来る。
余分な水分を飛ばした事で
しっかりと濃厚なカニの味と甘みを
感じる事が出来る。
「んん~、焼きガニ美味しい~」
『焼きガニとか、カニ刺し
追加で注文できますよ?』
このコースはカニが1人
2.5杯使用されている
カニのフルコースだから、
カニだけでも…お腹が一杯に
なってしまいそうなのに、
彼が立派な船盛を頼んでくれてたので。
この船盛りも…かなり豪華だし
ボリュームも結構ある。
カニ刺しを一口で頬張れば
ねっとりとしたカニの身の
甘さを…存分に感じる事が出来る。