第15章 雄介からの電話
『もう…来週は、
クリスマスなんですね…。
クリスマスが済んだら、
お正月がすぐに来ちゃいますし…』
「でも…緊張しちゃう…かも…」
『うちの親に会うのに
そんなに緊張しなくても
大丈夫ですよ、巴さん。
正式に結婚の挨拶って訳でも無いですし。
ちょっとした、挨拶と。
お互いの顔合わせ…程度ですから…』
妹……に…、あの…昨日して貰った
メイクを…あれは…結婚式用だけど
ちょっと地味目にした感じのを
お正月に港斗君のご実家に
ご挨拶に行くまでに憶えて置いて…。
美咲さんのサロンにも…
その前日にはお世話になりたいし。
『巴さん…大丈夫ですよ』
「え…?大丈夫って…?」
こっちがあれを着て行こうとか
手土産は何にしようとか、
当日の事をあれこれと考えていると。
彼に大丈夫だと言われてしまって。
『巴さんは…、いつもの
巴さんで…いいって言ってるんです。
確かに昨日の、ウエディングドレスの
巴さんは凄い素敵でしたけどね。
でも…、いつもの巴さんが
僕が好きになった巴さんですから…ね』
「み、港斗…君…それって…」
彼の顔が笑顔になって、
海に向かって設置されている
ベンチに座ったまま。
彼からのキスを受け入れていた。
『巴さんは…いつだって、
魅力的な女性で、素敵だって
言いたかっただけなんですけどね…。
さて、あんまりずっと
外に居ると身体冷えちゃいますし…
この辺りで何か食べて帰りましょうか…』
ベンチから立ち上がって
こちらに向かって差し出された手を
巴が取ると、ベンチから
彼に腕を引かれて立ち上がらされる。
その後はumieの中にある、
オムライスの美味しいお店で
お夕飯を食べてアパートに帰った。
何と言うか…今年のクリスマスが
自分のここ数年の中で
一番…クリスマスらしいクリスマスかも…。
『巴さん、早速さっきの
シュトレン食べてみましょうよ』
えっと…毎日…食べるから…
薄目にカットして、半分こかな?
クリスマスまでの…って考えたら
今日から7日分って
考えたら丁度いいのかも。
「うん、ちょっと待ってね
7当分になる感じにカットするね」
『巴さん、楽しみですねクリスマス』