第88章 港斗君の誕生日
「私も…フクギ並木…行きたいって
…でも…そんなの木があるだけって
言われて、却下された…場所だったから」
『巴…、手、
繋いで歩きませんか?』
あの時……ガイドブックに載っていた
このフクギ並木の…中を、
私は……今…港斗君と歩いていて。
備瀬地区の入口の駐車場から
一番突き当りに当たる場所にある
私達がレンタカーを駐めている。
備瀬崎までは、約1キロ片道12分程…。
その途中で、夫婦フクギと言う
看板が立てられたフクギの木の前を
通りかかって、彼がその足を止めた。
『この…夫婦フクギが
見たかったんですよ…僕』
まるで夫婦の様に、
2本のフクギの木が
寄り添って生えていて。
このフクギ並木の
中でも夫婦円満や、幸福を運ぶと
言われるパワースポットになっている。
「夫婦フクギ…京都にある
下鴨神社の連理の賢木…みたい…」
京都にある下鴨神社の境内の中には
縁結びとして最強スポットと
言われている相生社がある。
その相生社にある連理の賢木は
2本の木が1本になっているご神木で。
今の連理の賢木は4代目になるそうで
古い木が枯れてしまうと、また
新しい連理の賢木が糺の森のどこかに
生えて来るのだそうだ。
この夫婦フクギを見上げていると、
京都にある連理の賢木を思い出す。
来月には…、私と彼は
正式に入籍して夫婦になるのだから。
彼と夫婦として、末永く
幸せになれますように…と…
願わくば…彼との間に、
子宝にも…沢山…とは…言わないけど
1人…は……恵まれたいです…と。
夫婦フクギに手を合わせて、
記念撮影をして。
備瀬地区の入口にある
公衆トイレのある駐車場に出て来る。
『巴さん、ここら辺のカフェで
早めのランチにしましょうよ』
この備瀬のフクギ並木には
フクギ並木を眺めながら
ランチが楽しめるカフェや。
備瀬の美しい海を眺めながら
ランチが頂けるハワイアンカフェ。
この駐車場の前にも、沖縄そばが
食べられるローカル食堂もあって。
幾つかある候補の中から、
お洒落なオープンカフェの琉果で
ランチを頂く事にした。