第83章 7月7日 AM編
このアクアライブの建物が
所謂水族館と呼ばれるエリアで。
須磨シーワールドの前身である
スマスイのお魚たちの殆どがこの
須磨シーワールドでそのまま展示されている。
『この前…YouTube観てたら、
ここのお引越しの動画あって…見たりして…』
須磨シーワールドに来るのに、
水族館が好きな小林は
下調べを色々としていたみたいで。
効率のいい回り方とかも、プランを
立ててくれていて…。
まずは入口入ってすぐの場所の
記念撮影をしてる人が数組いる
シャチのモニュメントの前で
記念撮影をしてから、
メインであるアクアライブに向かった。
アクアライブの建物は4階建てで
どの階からも見る事が出来るが
オススメなのは建物の3階の
迫力のある滝の所からスタートする
ローカルライフから見るのが良いそうだ。
ローカルライフは水の一生という
テーマに沿って、一滴の雨水が
海に辿り着くまでの旅を、
川の上流から中流、下流へと…
淡水魚を…見ながら進んで…
そのまま海へと…3階から
2階へと展示が繋がっている。
『見て下さいッ、小林サン
美味しそうなタコが沢山居ますよッ!!』
水族館にタコの展示は良くあるけど
これだけの数のタコを1つの水槽で
展示してるのは…珍しいのだと
小林が葵に説明をしてくれて。
アクティブに水槽の中を
泳ぎ回るタコ達の姿を
しばらく水槽の端の方で
一緒に観ていると
子供が賑やかに水槽の前に
『タコぉ、タコおるで~』と言いながら
バタバタと…人の間を縫って最前列に来て
その行き場を無くした人が
こっちに流れて来たので。
ギュウギュウと…押されてしまって
押し出されそうになったのを、
『蛯名さん…、大丈夫?』
満員電車で…ヒロインを
守ってくれる男の子…みたいに
腕で壁を作ってガードしてくれていて。
いや、…看護師だから
転倒しそうになった患者さんを
ガードする時みたいに
咄嗟にしてくれた
無意識の行動かも知れないけど…。
自分の背中に…小林サンの体温を
感じてしまってドキドキしてしまっていた。
『子供が結構多いから…、手…
繋いどいた方が…いいかも…。
蛯名さん…小っちゃいから…
すぐ人に飲まれて
見えなくなっちゃいそうで…』