第5章 ぼんミイラ男目線
その内に、俺たちをカゴから出すようになったハナちゃんは、一緒に食事をしようとショクタクというテーブルの上で俺はパンをかじるようになっていた。
その時妙にハナちゃんから視線を浴びるなと思っていたのだが、ある日急に手を伸ばしたことがあって。いつもとは違うことに俺はびっくりして思わず叫んでしまった。
「何なに? ごめんごめん、なんでなんで?!」
まさか食べ方が汚かったとかなのだろうかと考えている間もなく、俺はハナちゃんに捕まることはなく……後ろに指先が回り込んだ。
なんだろうと振り向くと、体から解けた包帯を拾っているだけだった。と、その指先が俺に近付いてきて今度こそ何かされるのかと思ったが、なんてことはない。俺に包帯を巻き付けただけだった。
そう。ハナちゃんは俺の包帯を触るのが好きらしい。
出来ることなら頭を撫でて欲しいんだけどな、と思っていると本当に撫でてくるからぎょっとする。ハナちゃん、俺たちの言葉は分からないのに、読心術を使うのだろうか。
すると、ハナちゃんが俺に向かってくすくすと笑った。
「ミイラさんって結構可愛いのね」
え……?
そりゃあ人間の言葉はある程度分かっていたつもりだったけど、可愛いと言われたのは初めてで。
俺が驚いているのも包帯だらけの顔からでは伝わらないまま、ハナちゃんは食事を終えて席を立った。
俺は食事もそこそこにショクタクで各々のんびりしていた四人に声を掛けに行った。