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あの方々の守護霊は2[dzl]

第8章 不安な予感


「あ」
 その時、ふとドズルさんが顔を上げた。そして私と視線がぶつかり、なんだろうと首を傾げる。
「ちょっといいかな」
「あ、え、私……?」
「うん、そう。……どこか空いてる部屋ある?」
「だったら……」
 そうして私は、ドズルさんに空いている談話室を案内した。急になんだろうと私が緊張して言葉を待っていると、部屋に入って扉を閉めるなり、ドズルさんがこう訊ねてきたのだ。
「電話のノイズって、幽霊のせいだったりするかな?」
「えっ……」
 思わぬ質問で私は拍子抜けする。いやいや、拍子抜けしている場合ではない。私は真面目な顔を崩さないように少し考えてからゆっくりと話した。
「確かに、幽霊のせいでノイズが入ることもあるみたいです……私はそこまでは詳しくないんですけど……」
 とはいえ、ぼんじゅうるさんとの連絡手段が途絶えた理由には一見繋がりそうにはない。ぼんじゅうるさんの守護霊はなかなか強そうなモダンの……あのゲームキャラクターなのだし……って曖昧な確証しかないんだけれども。
「僕の守護霊は? 今は大丈夫そう?」
「ドズルさんは、大丈夫ですね」
 ドズルさんの更なる質問に私は滞りなく答える。ドズルさんの守護霊は相変わらず奥さんの生き霊が憑いていたし、目を凝らさなくてもよく見えるので答えやすいのだ。
「じゃあ、ぼんさんに何かあったのかな……」
 それから明後日の方向を見て顔をしかめるドズルさん。私は、正直何もかも幽霊のせいにはしたくなかったが、ぼんじゅうるさんが頭痛があると言っていたのなら幽霊の関係なしでとても心配だった。
「まぁ、幽霊の関係と決まった訳ではないとは思うんですけど……代替えの通信機器は持って行った方がいいかもしれませんね」
 このアドバイスは先輩か上司がすることなんだろうけど。私はドズルさんの心配している顔をいつまでも見ていられなくて励ましのつもりで言った言葉だった。
「それもそうだね」ドズルさんは私へ真っ直ぐと視線を向けた。「ぼんさんの家に行って様子を見てきてくれるかな。僕はなんとかこっちの機械点検の人に連絡してみるから……それに、僕より君のほうがぼんさん喜ぶだろうし」
「それはいいですけど……」
 ぼんさんが喜ぶ、という言葉には何か引っ掛かるものを感じたが、私は代換えの通信機器を持ち、早速ぼんじゅうるさんの自宅へ車を走らせた。
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