第22章 1 John 1:9
引き戸が勢いよく開くのを見上げていたが、誰も入ってこない。
「翔…?」
この声は…
「潤…?」
ガタンと引き戸が大きく音を立てて、全開になった。
そこに居たのは、潤だった。
ベージュのトレンチコートに、下には珍しくスーツを着ているようだった。手には買い物のビニール袋を持っている。
どこかに取材に行った帰りなのか、それとも大手の雑誌社に記事でも持ち込んでいたのか…
「大丈夫か!?」
そんなことをぼんやりと思っていたら、血相を変えて俺のことを床から起き上がらせた。
「一人で風呂に入ったのか?具合悪くなったんだな?面倒みてくれてるっていう親戚のじいさんは?どこ行ったんだよ!?」
怒涛の質問攻めに遭って、混乱した。
何の話だかわからない。
「じい…さん…?」
「昼間留守電が入ってたんだよ!これからは親戚のじいさんとやらが翔の面倒を見るから、合鍵を返してほしいって」
親戚のじいさん…って、誰のことだろ。
父方の祖父は亡くなっているし、母方の祖父は群馬に在住している。まだ働いているから、俺の面倒を見れるような時間なんてないはずだ。
「翔の部屋のポストに鍵を返しておいてくれってことだったんだけど、急に親戚なんておかしいと思って確認に来たんだよ」