第21章 Psalm 121:1-3
その後は、西島がなにを聞いても喋らなかった。
諦めて翔をベッドに横にならせると、すぐに寝息を立て始めた。
でもその顔には苦悶の表情が浮かんでいた。
「リビングに戻ろう」
そう言うと、西島は頷いた。
リビングに戻ると、西島はまたカウンターの椅子に腰掛けた。
「…なんで倒れたのかまではわからなかった」
「そうか…」
冷蔵庫から水のボトルを出して手渡した。
「ありがとう」
蓋を開けてゴクゴクと飲むと、少し疲れた顔をした。
「でもあれはなんらかの強いストレスがかかってああなってる気がする」
「本当か?」
「…ああ。記憶の混乱が起こってるが、あれは現状をしっかりと認識してるようでそれをなにかの理由があって拒否してるんだ。あの混乱はそこから来る」
西島は悪いことは言わないから、病院で検査を受けさせろと言った。
「精神的なものなら、俺の出番もある。それをはっきりさせるために検査を受けたほうがいい。TJ病院に勤めてるんだろ?そこに連れていけば…」
「もう辞めてるんだ。辞めた理由はわかってない」
「なんだと…?」
また水をごくごくと飲むと、懐からスマホを出した。
「しょうがねえなあ…」
どこかに電話してすぐ切ると、俺に車をマンションの前に回すよう言ってきた。
「今から簡単な検査のできる医者に連れて行くから準備しろ」