第17章 【Recordare】
『お願い…お願い…』
真っ暗な中で
声がする
俺を許すなという声
俺を許せという声
『お願いだから……』
遠くに見えるのは
俺の家族
微笑んで俺を見ている
手を伸ばせば届きそうなのに
『ヒッ…』
家族と家は炎に包まれた
どうしてそこから動かない
どうしてそこから逃げない
俺の…せい?
『許して…!許して…!』
その時全身をたおやかな手に包まれた
焼け焦がれるような焦燥が
体から消えていくのを感じた
──あなたは許されている
本当に?
──だからあなたは真実を知るべきだ
俺が…?真実を…?
──理由はそこにある
ああ…
探さなければならない
俺が俺として生きていっていい
理由を
──全てはおまえのために