第4章 𝕂𝕒𝕝𝕒𝕟𝕔𝕙𝕠𝕖 𝕦𝕟𝕚𝕗𝕝𝕠𝕣𝕒
『…轟くんなんか変、だよ』
私は顔を下げて、キュッと唇をきつく結ぶ
拳には力が入り僅かに体が震えているのが自分でも分かった
轟くんの視線が自分に向けられる度に擽ったくて
のぼせたときみたいに顔が熱くて赤くなる
ちがう…変なのは轟くんじゃないの
ずっとずっと私だよ
「…オレをおかしくさせてんのは 秋月だろ 」
図上から降ってくる声に鼓動が速さを加速させていく。頬が温かい感触に包まれ、私の顔をゆっくり上に引き上げていく
視界から溢れる轟くんの頬は微かに赤く染まっていて、彼は両手で私の頬を挟んだまま言う
「 秋月 だから、こうして触れていてぇって思う」
轟くんはそう言うと私の顔のパーツを親指でなぞり始める。瞼から鼻筋そして顎の輪郭に掛けて親指で優しくなぞるように撫でられる
轟くんはまるで大切なものを見るかのように愛おしそうな目で指を動かしていく
彼の指が唇に差しかかったときふと動きが止まる
全身の力が少しずつ緩み、口を開こうとすると
親指をスライドせずフニフニと私の唇を揉み始めた
「柔けぇ」
肩をビクッと振るわせるけれどやっぱり轟くんはそんな私の様子でさえ愛おしそうに眺めいるだけ
『あっあの…とど…んんぅ?!!』
触られながらも小さく口を開くとその隙間に親指を入れられてしまう。轟くんの親指は口内をかき回すように触れてきて舌に絡ませるように親指を出したり引いたりする。彼の口内をいじる指は徐々に勢いを増していく。
私は自然と親指を舐めるように動かしてしまう
口を半開きにして、口の中を轟くんに見られているのがすごく恥ずかしくて薄目で見えた彼の表情は余りにも色っぽく映り、大きく心臓が跳ね上がる。
「ヤベェ…唆る、かなりクるな」
轟くんはようやく親指を抜き、こっちに引き寄せられるように顔を近付けてくる
それが何を意味するのかわかり一層顔に熱が覆う
彼の薄く整った唇と重なりあう僅かのところで私は目を瞑る
心から彼とキスしたいと強く思ったから
鼻が擦れ合い、あと数cmにも満たないとき
゛秘めた恋、なんだ゛
耳に残った啓悟くんの声が再生され、急に泣き出したい気持ちに襲われる
それと重なるように私のスカートが大きく揺れだした