第8章 𝕊𝕦𝕟𝕗𝕝𝕠𝕨𝕖𝕣
ひかりは肯定を示すように顔を上げてオレと視線を合わせる。
『昨日そいつから返信が来た』
______〈 ひかりちゃんとキミがどんな関係か知らないけど〉
〈このコだけは誰にも渡せない〉
自分のものでもねぇくせにもう所有主みてぇな顔しやがって、あのキモ野郎…
「え…なんて来たの?やっぱり勝手になにか送って」
『内容なんでどーでもいいんだよッ
大事なのはてめェの気持ちだ、轟はやめとけ』
オレの言葉に ひかりはさっと青ざめて距離を置こうと抵抗するが絶対逃がすかよ。視線を彷徨わせるコイツはやっぱり迷ってんのが分かる。
『轟に好きって言われてねぇのが肝だろ』
「私は別にいいのっ傷付いても…轟くんといられるならそれで」
『ちげーわ、話聞いてんのかよ
傷付くのはてめェじゃなくて轟だって言ってんだよ』
他に誰かいる
直感でそう感じちまう。
『前に言ってた温かくて安心するってのはてめェ自身が失ったもんを轟で満たそうとしてんだろ』
「そ、んなこと」
轟は ひかりに対し恋愛感情を抱いてる。けどそれを表に出すことに抵抗を感じてる。クソデクとの会話からわかるに多分、自分が他人に愛情を注ぐのが怖くて許されねぇ事だと思ってんだろ。
゛清算しなきゃならならいモンがまだある ゛
アイツが答えを出すときはその時だ
縛りから解放されるとき
『轟に好きって言ったことあんのかよ?』
「それ…は」
背中に回した手で火傷の跡を傷つけないように、触れすぎないように撫で上げる。てめェを縛ってんのは紛れもなくこの傷だ。
「…傷…引いた…?」
顔をうずめてくる ひかりは聞いてるくせに聞きたくねぇのがただ漏れなんだよ。
『引いた、こんなン見たら大抵のヤツは萎えんだろーな』
五年も経ってるくせに色褪せないくらい鮮血に滲む火傷の跡。全部消して元に戻す。他の誰でもないオレが。
『けどオレはそれごとてめェを受け入れてやる
ひかり好きだ。』