第31章 最強の夫婦
「かまいたち?」
真白は眉をひそめる
目の前には環がいた
彼女は突然屋敷に来ては呪霊討伐の依頼を真白と宿儺にしてきたのだ
「そう、最近都でその話が持ち切りよ……被害は日を追うごとに増えているわ」
環の話によると深夜に都を歩いていると突然、腕や足を切り刻まれるという案件だった
都ではそれを“かまいたち事件”と呼んでいるらしい
呪力の痕跡が残っているらしく呪霊や呪詛師の仕業だと考えてもいいだろう
「お前が行けばいいだろう」
「そうよ、こっちだって暇じゃないわ」
真白と宿儺が拒否すると環が涙目になる
「……というのが本心だけど都で被害が出ているのなら見過ごせないわね」
「真白……」
環が真白の言葉を聞いて目を輝かせる
「俺は行かんぞ」
面倒くさそうに宿儺は言った
「あら、いいの?私が死ぬかもしれないのに」
「有り得んな、特級でもない限り」
「薄情な人ね、妻を守るのが夫の役目でしょ!」
「はぁ……行けばいいのだろう」
宿儺は諦めがついたようでため息交じりに言った