第16章 不思議な夢
宿儺の屋敷から去った環は自分の屋敷へと戻った
環が帰ってきたのがわかったのだろうか、環の部下である葵が環を出迎えた
「おかえりなさいませ、環様」
葵は普段と変わらずに淡々と言葉を紡いだ
「あら、葵……」
「環様、先程から険しいお顔をなされているのですがどうかしましたか?」
「……真白から彼奴の気配が無くなった」
「!?」
「それは……消滅……あるいは器を変えて出て行った可能性がありますね」
「彼奴は真白に執着していたのよ、そんな簡単に消滅だの出て行くだのと……あり得ないわ」
「なら何故……」
「分からないわ、そもそも彼奴はこの世にいてはいけない存在、イレギュラーよ」
「……このことは真白様に伝えていないのですか?」
「ええ、彼奴の存在すらも伝えていないわ、最近の調子を聞いてみたけど変わらないと返答された」
「そうですか……」
「……」
環は険しい表情をしたまま黙り込んでいる
「この先、何も起こらないといいのですが……」
「そうね、ひとまず様子見をしてみましょう」