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OVERFLOW with LOVE 【文スト】

第5章 新たな場所



「で、千紘。太宰とお前の関係は?」

「ナオミも気になりますわ!ねえ兄様」

「うん、僕も気になるなぁ。ズバリ、恋人ですか?」


一通り探偵社を案内してもらい、
少し親しくなったナオミちゃんと賢治くんとビル一階にある喫茶店〝うずまき〟で珈琲を頂いていた。

気づくと周りには、他の人達も集まっていて、
当然、話題は〝私と太宰さんの関係〟だった。


「千紘ちゃん、正直に話していいのだよ。私たちのカ・ン・ケ・イ!」

「なッ……太宰、矢張りお前達はそう云う…」

「残念だったね国きぃーだ君、千紘ちゃんの事を気になっていたのだろう?あげないよー。」


太宰さんはソファに腰掛ける私の後ろから、腕をだらんと落として寄りかかるようにして話す。


「恋人じゃありません。太宰さん、そんな含みを持たせた云い方すると誤解されるから辞めて」

「何だい、違うのか…良かったじゃないか国木田。」

「よ…与謝野女医まで…俺はそんなつもりじゃ無いですから」

「ハァ…全く千紘ちゃんは判らずやだねぇ。牽制しているのだよ、君に変な虫がつかないように。」

「虫なら今、ついてるじゃん」

「…会わない間にあのちびっ子に似たようだねぇ。本当、妬けるね。」


太宰さんは寄りかかるだけだった腕を巻き付けて、抱きしめるように少し力を込めた。


「…千紘ちゃんは私の友人の妹でね。前職でも一緒に居てね、まァ古くから知る幼馴染のようなものさ。」

「お二人はこんなに仲良しなのに如何して離れちゃったんですか?」

「……如何してだったかな、忘れちゃったね。」


賢二君の質問に対する答えを彼は濁した。


「にしても、太宰の前職と同じか……サッパリ判らん。」

「前職当てゲーム、探偵社の定番なんです。でも太宰さんのは誰も当てられなくて。」

「お前も太宰と同じか……余計に判らんな。」

「私もこの子も嘘はつかないから、当ててみ給えよ」

 
太宰さんの一言から前職当てゲームは盛り上がったものの、
誰一人〝ポートマフィア〟と云う言葉は出てこないまま、
各自仕事へと戻っていった。



そんな温かい人達に囲まれた武装探偵社で、
新たに踏み出した日々はあっという間に時間が過ぎた。


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