【呪術廻戦】あなたに殺された私は呪術師として生まれ変わる
第14章 あなたと新たな夜明けを(上の続き)
シャワーを浴び終わって部屋に戻ると悟くんが「浴室、寒くなかった?」と尋ねてきたので、「寒くなかったよ。むしろ暖かかった」と感じたままを答えた。
「を起こす前にシャワー出して暖めておいてみたから、実際どうだったのか気になってね」
そう言った悟くんに私は驚くしかなかった。
まさかそんなことまでしてくれていたなんて。
さっきは悟くんの手を煩わせないように抱っこを回避したけれど、別のところで世話を焼かれてしまっていた。
「こっちおいで。髪、乾かしてあげる」
椅子とドライヤーを準備して待ってくれていた悟くんは、鼻唄でも歌いそうなくらいご機嫌だ。
これはもう無下にするわけにもいかないと観念して、勧められるがまま椅子に座り「お願いします…」と素直に受け入れて髪を乾かしてもらう。
明らかに負担をかけてしまっているのに、それを煩わしく思うどころか喜んでさらに世話を焼こうとしてくれる。
そういえば、傑もそういう過保護なところがあった。
二人は親友になったくらいだから、やっぱり似ているところがあるのかなとふと思った。
ドライヤーの温風と髪を撫でる悟くんの優しい手つきの心地よさに、乾かしてもらってる最中なのについまた眠くなってしまう。
私がうとうとし始めたことに悟くんも気づいた。
「、また寝ちゃいそうだねぇ」
「んー、悟くんの手、気持ちいいから…」
眠気にぼんやりしながら率直な感想を言ってからしばらくして、悟くんがドライヤーのスイッチを切って「終わったよ」と声をかけてくれた。
「どうもありがとう」と振り返って悟くんを見上げると、不意に頬を大きな手のひらで包み込まれた。
「僕の手が気持ちいい…なんて、昨日を抱いたの、思い出しちゃったじゃん」
そう言いながら私を見下ろす悟くんの情欲的な表情に、私まで悟くんとの行為を思い出してしまう。
顔から火が出そうなくらいの気恥ずかしさに、眠気も完全に吹き飛んでしまった。
「…そういうつもりで言ったんじゃないよ」
「わかってるよ。でも、ちょっとだけキスさせて」
顔を近づけてくる悟くんを返事の代わりに目を閉じて受け入れた。
唇同士をくっつけるだけのキスをしたあと、お互い顔を見合わせて笑い合う。
「そろそろ支度して行こうか」