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魔法が使える男主

第2章 1話


1年ズと解散してから俺は報告書をまとめるため、寮内の自室へ向かって歩いていた。

もう少しで到着するタイミングで能天気な声が聞こえた。

「リュウ~!」
『ん?』
「部屋行っていい?」
『いいけど、何もねぇよ?』
「えっ!お土産は!?」
『ないよ。』
「なぁんだ~…。」
『目的それかよ。』
「いーや、違うよ。」

鍵を使って自室へと入る。必要最低限の物しかない、殺風景な部屋だ。
俺は五条を部屋に入れると椅子に腰かけて引き出しから報告書の紙とペンを取り出す。

五条は報告書を書き出した俺を見てベッドに腰かけた。

『んで、なに?』
「結構力使ったんだね、今回は。」
『…まぁ。』

六眼はそんなことまで分かるのかと思ったが、生徒の血を舐めようとした所を見られたんだったと思いなおした。
呪力ならまだしも、「魔力」は視えない…と思う。

「そんなに強い相手だったの?」
『いや。ただ、数が多かった。』
「なるほど。」

ここまで話して、急に五条の声がワントーン上がる。どこか楽し気な声だ。

「ってことで、今夜空いてる?」
『……。』

突然の誘いに、ついペンが止まる。

なるほど、だから俺の部屋に来たのか。誰かに聞かれないように、一応五条なりの配慮をしたんだな。

俺が振り返ると五条はまた喋りだす。

「僕はまだ授業あるし、リュウも見学来るだろ?そんで明日から出張だし、今夜しかないけど。」
『え、明日から出張?』
「明らかに僕が出る程の敵じゃないのにね~。」
『面倒な相手に目付けられたもんだな。』

呪霊より上層部の方が質が悪い。
俺がそんな含みを持たせると五条も意味が分かったのか「お互いね。」なんて肩をすくめた。

「それで?どう?」
『…分かった、今夜頼むわ。』
「りょーかい!」
『で、授業なんだろ?鐘鳴って時間経つけどいいのか?』
「あ。」
『…遅刻癖は相変わらずか…。』

五条が部屋を出ていくのに俺もついていく。
全く慌てる様子の無い背中を見ながら、どうしても頭によぎる今夜のこと。
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