第193章 覚醒する腹貸し
夜蛾さんだけが聞こえる私の音
心配して病室の中に飛び込んで
私を安全圏に押します。
「下手に同情するなら
今すぐ本体を殺して!!
私はもう楽になりたいの!!
あと数ヶ月も目の前のものを見つめながら
過ごすなんて馬鹿みたい!!
その時がきたら誰も私の葛藤も
苦しみを知らずに
私の死を受け入れて
新しい命の誕生を喜ぶんだ!!!
弊害で馬鹿になっていく私を笑った家族、
揶揄った使用人、
命をかけて産んだのに私を嫌う子!
私はなんの為に産まれてきたのよ!!
許せない!!許さない!!許さない!」
夜蛾
「ちょっと!落ちついてよ!!
貴女が何をそんなに悲観してるのか
僕には事前情報が無いから
ぜんぜん分かんないんだって!!!
それじゃ僕も貴女の本体を殺せないでしょ!?
だからここは落ちついて僕に自己紹介して!」
(自己…紹介……)
自己紹介と聞いて
私の荒ぶった気持ちが少し落ちつきました。
「話したら…殺してくれるんですか……」
夜蛾
「うーん、今のところ分かんない。
まずは聞いてみてから。」
私のヒステリーを楽しんでいるようにさえ
感じる夜蛾さんの雰囲気に私は
徐々にのまれていくのでした。