第117章 特級の男、腹貸しの嫁 II
【玉木視点】
集中治療室から個室に移動した様。
状態が悪いからこその移動だという事を
医師からは伝えられました。
つまりそれは…
様と親しい方が面会できるように
最期のお別れが出来るようにという計らいです。
玉木
「様。おはようございます。
お腹のご子娘様は順調に育っていますよ。」
私は様に語りかけます。
喋らずにはいられないのです。
玉木
「それから、
もうすぐ頭花と守様が面会にいらっしゃいますよ。
良かったですね。」
色白のさんの整った顔が、
穏やかにベッドに横になっています。
こうやってみると、
さんは母や嫁ではなく20代前半の
女性にしか見えなくて…
あまりにもその過酷な運命に
私はただ…
ただ彼女の穏やかな最期を望みはじめています。
(様…)