第5章 自覚と苦悩
[沖田side]
俺が固まっていると山崎は続けて話した
「要するに銀八は知らない間にその人に惹かれてたってことですよ。1度離れてみて彼女の大切さに気がついた…みたいな。いやぁ、銀八って意外と鈍かったんですねェ~」
「……」
「だから、あんまりツンツンしてたら沖田さんも桜ちゃんとっ…ぐはっ!!」
何か言いかけた山崎を殴って俺は病室を後にした
先程の山崎の言葉が信じられない
ありえねェ、ありえねェよ。
俺が吉野なんかに惹かれるわけねェ。
だって俺ァ……
「お、やっときたか!オーイ沖田ァー」
外に出るとみんな集まってて銀八がだるそうに俺の名前を呼んだ
ふと、そこにいる吉野と目が合った
「ッ!」
ドックンと音を立てた心臓が何かに締め付けられる感覚が俺を襲った
なんで…こんな…
そうしてだんだんと速くなる鼓動を必死に隠そうとすると
次の瞬間彼女が優しく微笑み俺の顔に一気に熱が集中した
「……まじかよ」