第3章 距離[沖田side]
「大体何でいっつも突っかかってくるアルカ!桜がいなくて寂しいアルカ?」
「はぁ?ふざけんじゃねーや。あいつなんかいなくて清々すらァ!」
チャイナの言葉を聞いて思い出したように近藤さんが言った
「そういえば桜ちゃんまだ来てないな。寝坊かなトシ?」
「…知らん」
その時、再び教室のドアが開いた
やっぱ寝坊かよ。
そう心の中で呟いて目線を向ける
しかし入ってきたのは…
「はーい席座れお前らー」
銀八だった
喋り方は相変わらずだるそうだが、表情はどこかしら少し暗かった…
「授業の前にお前らに大事な報告がある」
そう真剣な表情で言った銀八の言葉に一斉にみんな静かになる
一瞬銀八と目があった気がしたが多分気のせいだ
すると銀八は静かに話始めた
「昨日の修学旅行の帰りに…吉野が事故にあった」
みんな一斉に目を見開いた
は?……事故?
だってあいつは昨日…
あの時俺と話してたんだ……んで傘貸して…そのあと…。
そのあと……事故に?
自分でも顔が強張っているのがわかる
そして今さらだが何で家まで送ってやらなかったのかというどうしようもない後悔が生まれた
……でも昨日の俺だったら
思ってても結局はやらなかっただろう
「な!どーゆうことですか銀八先生!!」
「車に跳ねられたんだよ…」
メガネの言葉に銀八は落ちついた声で話す
「それで桜はどうなったアルか!?」
「大丈夫だ、心配ねぇ。病院に運ばれたが命に別状はねぇらしい。どうやら軽い怪我で済んだみたいだ」
銀八の言葉を聞いた姐さんとチャイナは「よかった」と言って涙を流していた
そして俺のまわりは……
「まあ、来週くらいには学校にも来れるらしいから、いつも通り明るく迎えてやれや」
吉野のいない1週間、少し静かだった
そして1週間後。
『みんなおはよう!!』
「!」
あいつは帰ってきた