第4章 優しい交わり
「……あの、
ひとつ聞いてもいいですか?」
情事を終えた後、
アンは仰向けで寝転がるミケを横目に
問いかける。
「なんだ。」
ミケは天井の方を向いたまま、
同じように横目でアンを見た。
「……私の匂い、
何でそんなに嗅ぎたくなるんですか?
嗅ぎたくなるくらい、
いい匂いがしてるってことですか?」
アンがそう言った直後から、
何故か重い沈黙が漂う。
もしや自分は地雷を踏んだのか……?
だが、こんな関係になった今、
気にならない訳がない。
情事の最中、常に至る所の匂いを嗅がれ
不思議に思わない訳がない。
遅かれ早かれ聞かれるとは
思っていなかったのか?