第2章 呪術高専
夏油side
電車に乗り込み、風海の隣に座る。
いつもは視線を感じて目が合うこともあるのに、それがなかった。海でナンパされるなんて予想できたことなのに不快な思いをさせてしまった。
少し目を閉じていると、硝子と風海の話し声が聞こえてくる。
は?私が可愛いって言わなかった?
…たしかに言ってないかもしれない。
やっぱり悟のキスマークだったか…
せっかく風海と一緒に思い出を作りたかったが、悟に持っていかれたな。
朝は電車の中で眠ってしまった風海の寝言で
『傑さん…』と何度かつぶやいていて、最高に可愛かった。
あんなに楽しみにしていたのに、少しでも悲しい思いをさせてしまったことに罪悪感が生まれる。
今度、別のところに2人で出かけてお詫びをしよう。
問題は悟だ。
ただ遺言を守っているだけじゃなく、本気で落としにきてる。そもそも悟が古いしきたりを守る柄じゃないことはよくわかっていたが、ただの気まぐれじゃないことが、いよいよわかった。
今までの彼女…というより一夜限りの女ばかりだったが、キスマークなんてつけたことはないんじゃないかと思う。
自分のものだとアピールするための跡。おいそれとつけるものではないが、まさか悟がこんな風になるなんて思っていなかった。
少し強引にいく必要がありそうだ。