第7章 年始
使用人side
別室へ入り、怪我の状態を確認してくれる風海様。
『ごめんなさい。私のせいで…』
「とんでもございません!申し訳ないのは私達でございます。お守りできず…」
思わず声が大きくなってしまった。私は風海様にお仕えできて幸せだと思っているのです。それなのに私たちのために辛い思いをさせてしまった。心優しい風海様のために何かしてあげたい。
泣かせてしまってごめんなさい。
泣いてしまった風海様が、指で涙を掬って私の足にかける。するとみるみるうちに怪我が治っていく。
もう1人にも同じように、涙を一雫かけると治っていった。
「これは?!」
「怪我が治りました!」
怪我していたところが綺麗に治り、痛みも消えて元通りになった。涙がかかった部分から、温かくなりじわじわと全身に広がる感覚。
『本当にごめんなさい。もう痛いところはありませんか?
これは私の力なのですが、あまり他人には見せたくありません。この力があるせいで命を狙われています。そのため、悟さんがお守りしてくれています。ですので、他言無用でお願いします。』
真剣な表情で頷いた。
風海様の命が危険になるようなことは決して致しません。
悟「風海は可愛いし、人たらしだから敵も味方も寄って来ちゃうから大変なの。俺がいない時には、よろしく頼むね。」
そう言って風海様の頭をポンポンしている。そして、悟様が“よろしく頼むね”なんて…本当に風海様を大切にしているんだなと感じた。