第6章 偏執
■side:Cefca■
「良い日ですねえ」
白い顔、道化衣装に身を包んだ男が指にはめられたリングを撫でた。水色をした宝石が輝き、汚染された雨が輝く泡のような境に弾かれて流れ落ちる。男は上機嫌に空から境に落ちる雨を眺めていたが不意にどうでもよくなったように嘆息を吐いた。
神経質に靴を鳴らしていたが、ややあって兵士の一人が濡れネズミのまま駆けてくる。
「遅い!!!」
「ひ、す、すみません……!」
怒りから放たれたファイアが火の粉を撒き、足元を照らした。それはすぐ雨に打ち消され辺りに微かに蒸気が漂う。兵士が何事か早口に報告をすると、男はまるで神を称えでもするように両手を広げて天を仰いだ。
「スバラシイ!……まァ、結果は分かりきっていました。
これで楽しみを奪われずに済みますねえ、こんなに待たされてただ帰る事になっていたら……」
じろり、と男が目をやると兵士は仕事は済んだ、とばかりに引きつった笑いを浮かべて逃げるように引っ込む。ケフカは意気揚々と薄汚れた街に踏み出した。徘徊していた住人たちの視線が刺すように集まる。
「───さて、死ぬ準備は良いですかァ?」