第8章 独占欲
ケフカ様の眼がもはや焚き火の比にならない程強くギラついた。とはいえ二度目のそれにコチラも以前よりは冷静だった。
駄々をこねるように私の手首を掴み地面に打ち付ける、背に走る痛みに表情が歪んだ。
冷静とはいえアチラは世界最強の魔術師かつ、こちらは何のヘンテツもない体力も魔力も大したことがない女である。どうしたものか。
「どうしてお前はすぐ俺に何かを隠す!!」
「そういえばドマ、多分ですけど夢に出ていた人が行く予定だった場所かもしれません」
「───!!!」
動揺している所に畳み掛けられ唖然とした顔をし狼狽える。その隙に唇を押しつけた。ケフカ様の反応はない、硬直している。やわく唇を噛むと微かに反応があった。先程とは違い、完全にそれは互いを確かめ合うものだった。まあ、先程も私だけある意味で確かめられていた訳ではあるものの。
「ごめんなさい」
「………」
不可抗力とはいえ実際すぐには頼らなかった、どれも考えついた時にまず目の前の事をした。そして終わっても言わなかった。それは本当だ。当惑した眼が揺れ、謝罪の言葉を飲むように再び口が塞がれる。
全く納得して等いないのに怒りの行き先を宙ぶらりんにして困る当人に、こんな時だというのに愛しさを感じた。