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鍵穴(トリガー)の先

第6章 思い出(前編)


あの日を忘れたことはない


あの日、おれは親父とロデューという中規模の王国に来ていた
あの時のおれは小さかったから、まだ戦闘慣れしてなくていちいち何かあれば親父を呼んでたっけ
初めて来る場所にも当然ビビってた

「…なあ、おやじ…」
「ちょっと待ってろ、今大事な話してるんだ」


「まあ、お嬢様!奴隷の子と一緒にいるものじゃありません!」
「いいじゃない!私のお金で買ったんだから!!」


「あら、もういらしていたんですか?」

「君は確か…王女マーニー」

親父に話しかけたのはおれよりも十幾つ離れたほどの紫色のショートカットの女性だった。さすが王族というべきか20もしていないのに丁寧な言葉を使う

「大したものはありませんがゆっくり休んで行かれてください」
「いや、そちらが友好的であると調査がしやすくてありがたい」



その時だったさくらんぼと会ったのは
親父の影からよく見てみるとマーニーは女の子を連れていた片手に手かせのようなものをつけていて、目は何故か左右別の色をしていた。そしてつぶらな瞳でこちらを見つめてくる

「えー…その子は?」

「一応奴隷ですけど…どうやら玄界の子供みたいで…」

「さんさい」

「三歳か。なら遊真と同い年じゃないか。なあ?」

「…」

そしたらいきなりさくらんぼがこっちに来て満面の笑みで言った
「あなたが旅人さん?

私、さくらんぼっていうの!よろしく」

女の子と触れ合ったことがないおれはどきマギしていたけど、あいつの笑顔で一瞬全部吹っ飛んだ
切りをつけるならここが一目惚れっていつところだろう

「そうださくらんぼ、私有吾さんに用があるからその子と遊んでてくれる?」

「うん、いーよ。お庭行こう!」

「え?ちょっと…」






「なあ、レプリカ助けて。おれ女の子と話したことない。何話せばいい?」

<難しく考える必要はない。普通の会話でも渡りあえると思うが>

「何話してるの?」

「わっ!!!」

「君にこれ」
そう言われてかぶせられたのはシロツメクサの花冠

「かんげいします!」(ニコッ



…駄目だ…
彼女と一緒にいると否が応でも
おれの大好きな笑顔が頭に入ってくる
心がほわほわしてくる
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