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最果ての夢【NARUTO短編集】

第2章 胸キュン【赤砂のサソリ】


ある女子の会話での出来事だ。

「ねぇねぇ! 壁ドンって知ってる?」
「カベドン?」


聞きなれない言葉におうむ返しをする。最近流行りの胸キュンシチュエーションらしく、詳しく聞けばご丁寧に壁ドンとは何かについて説明をされる。ふむふむ、何が胸キュンなのかぜんっぜん分からない。


要は相手を壁に追い込み、顔の横に思いっきり手をつく行動らしい。サソリにしょっちゅうされるソレに”壁ドン”なんて名前がつけられていることに驚きだ。


「かっこいいよね〜」ときゃあきゃあ言っている女子たちに、是非ともサソリにされてみて欲しい。肝が冷えるよ。


なんなら足でやることだってある。そう言えば「何それ!!上級者だよ!」と更に甲高い声を上げる女子。上級者…ダト。意味がわからない。あの不機嫌なサソリの顔を思い浮かべては、身震いした。


そんな私に女子たちは「ナナミがお手本見せてあげなよ」とニヤニヤした顔で提案される。そのお手本というものを詳しく聞けば、ふむふむ。女子たちのきゃあきゃあの意味がなんとなく理解できた。実際にされたいかと聞かれても、別にされたくはないが。


そもそもサソリが胸キュンなんてするのだろうか。手足やら指やら、気味の悪いパーツを部屋に散乱させては、カタカタと傀儡を操っているサソリに、胸キュンする心があるのかも疑わしいといいうのに。


「そのカベドンっていうやつはどういうタイミングでするの?」

「んー、話を聞いて欲しい時とか、自分のこと見て欲しい時とか?」



とんだ自己中ではないか。でもサソリもなかなかの自己中だし、自己中なやつに自己中な行動は、マイナスとマイナスかけたらプラスみたいな仕組みでうまく行くのかもしれない。…何を言ってるのだろうか自分は。





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