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6年後のエイプリルフールに。

第3章 スタートダッシュ


「自己紹介」

私は、これが大嫌いだった。
まあ、好きだという人の方が普通だが。
しかし、そもそもが面倒くさがりな私にとって、新しい環境というのは、馴染むまで憂鬱だ。
その上、人前に出て自分をアピールしろだなんて、最悪でしかない。

しかし、彼のことを知るには最高のチャンスだ。
彼の番になり、私は全神経を研ぎ澄ませた。
名前を聞いて、今度も周りが見えなくなった。




「ー光汰です。」



兄と同じだ。
(運命なのか。いや待て、それは都合が良すぎる。…)
密かに私の中で、会議が開かれた。


そうしているうちに私の番になり、気を取り戻す。
1枚といわず、5枚ほど猫を被って自己紹介を終えた。
我ながら女優だと、自分を密かに褒めたたえた。
(毎度私は、一体誰を紹介しているんだろうか。)










どこか上の空で自己紹介、ホームルームを終えた私は、初めてできた友人と教室で談話していた。
数メートル先にいる光汰を盗み見ながら。

今この教室には、私と友人と光汰、そして先ほどのホームルームで決定した委員長君の4人だ。
今がチャンス。
私は、教室内にいる3人と、LINEを交換した。
「用」を済ませた私は、すぐに友人と別れ、自分の勇気ある行動と光汰の連絡先に幸せを噛みしめながら家路に着いた。

なんだ。高校生活とは思っていたより楽しくなりそうだ。
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