第3章 examination
そう首を傾げながら、熱い視線を感じて身体が硬直していく。
「ほら、ミア。気付いているんだろう」
『エルザ…そりゃぁ、気付いてるけど…今年は逃げる!じゃあ、また!
と、当日には戻ってくるから!』
「あっ!ミアーー!!逃げるな!」
『ひっ!な、ナツ!
こ、今年は…今年は他の人をパートナーにする予定なのー!!』
そう全力で走ってギルドを後にして、街の物陰に隠れる。
ごめんねナツ…!
他の人とは言ったものの、誰とも約束なんかしてない…
『ハッピーに頼んでみようかな、それとも、他の人…』
「おい、ミア。そんなとこで何してんだよ」
『ひっ!』
そう突然肩を掴まれて、身体がびくりと揺れる。
物陰に座って隠れていた私に目を合わせるように、しゃがみ込んでくれたのは、よく知った顔で…
『グレイ…』
「俺より歳下でS級試験に参加できるってのに…信じられねぇ姿だなぁ」
『ひどい』
ははっと笑いながら、私の両手を握って立たせてくれる。
!!
勢い余ってグレイに倒れ込んでしまい、胸がとくりと音を立てた。
『あ、ありがとう』
「あぁ、家まで送るぜ」
『え、っと…しばらくは…ナツとハッピーのいる家には帰れない事情があって』
「はぁ?なんだよそれ…じゃあうち来るか?」
『ほ、本当…!?』
「ナツと喧嘩したらいつも来てんだろ、今更遠慮すんな」