第11章 OFF RECORDING♪
— OFF RECORDING♪① —
『貴方にとって私は、どんな存在ですか?』
「秘書」
『……』
「なに、その顔。もしかして何か期待してた?じゃあ逆に訊くけどさ、君にとって僕は何?」
『貴方が狐だというのなら、私は毎日山盛りの肉を届けましょう』
「太りそうだから葡萄がいいなぁ。甘いやつね」
『貴方が汚れたフライパンだというのなら、私がタワシになります』
「わぉ!テフロン加工もボロボロだぁ!」
『貴方がもし水素なら、私は酸素に』
「水の出来上がりだね。その場合、僕は二人必要だけど。っていうかそんなに僕と結合したいの?」
『貴方がもし、空の星に触れる事を夢見る子供なのだとしたら…私は宇宙飛行士になって、いつか貴方を宇宙に連れて行きます』
「……ふん。そんなことしてくれたって、それは君の星じゃないじゃないか」
『たしかに。では、星は購入してプレゼントするとしましょうか。今から金銭を貯めなくては』
「いいよ。スポンサーには僕がなろうじゃないか。星が欲しいのは、僕だから。あ、星が欲しいってべつにダジャレじゃないよ」
『ふふ、ははは』
「…ふぅん。君、そんなふうに笑うのか。まぁでも、僕は泣けてくるけどね。
君が、愚か過ぎて…泣けてくる。そんな愚かな君の側には、賢い僕がずっと隣にいてあげなくちゃね」