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キラキラ星

第7章 友達




— 友達 —


他人に心を預けない彼だが、他人を寄せ付けない訳ではない。事実、了の周りにはいつも人が集まってきた。しかし、純粋な気持ちで近付いてくる人間など、いないのではないかと私は考える。

彼に声を掛ける人間の肚の中は、いつも似たり寄ったりだ。大手芸能事務所の副社長とお近付きになりたいとか。側にいればお零れに預かれるかもしれないという期待や、あわよくば弱味を握ってやりたいと探りを入れに来てみたり。まぁ、大抵はそんなところだ。

そんな数多いる人間の中でただの1人でも、了のことを、本当の意味で見てくれている者はいるのだろうか。
例えばそう。最近、了のお気に入りのアイドルである “ 彼 ”は、一体どういう腹積もりで今夜、この場所に来たのだろう。


「はいこれ!了さんにお土産!まずは御当地キーホルダーでしょ?それに今時珍しいペナントもあるよ!それからこっちは、了さんの名前入りストラップ!」

「わぁ!ありがとう百!貰って困るお土産ベスト3だ!嬉しいよ!」

「そう言うと思ってた!そんなワガママなお客様には、特別にこれも付けちゃう!どこでも買える、至って普通のビスケット詰め合わせでーす!」

「最高だよ!チョコにバニラに抹茶に紅茶!どれから食べようか迷っちゃうなぁ!あ!この星型のはぜーんぶ僕のだ!」


まるで、長年連れ添った友のように見えるこの2人。アイドル嫌いな了が、彼を好むのは何故だろう。人気アイドルの百が、他事務所の副社長の自宅を訪れるのは何故だろう。
沢山の、何故だろう。に押し潰されそうになっていると、百の綺麗な瞳がこちらに向けられた。


「でもびっくりしちゃった。あの了さんが、あえて決まった人を側に置いてるんだもん!どういう風の吹き回し?」

「あの了さんって、どの了さん?」

「ツクモの了さんに決まってるじゃんか!このタイミングで、あの眉毛の繋がった国民的警察官の両さんの話をオレがすると思う!?」

「あっははは!あの両さんなら僕も大好きだ!ゴキブリ並みの生命力と、固定概念に囚われない着眼点は見習いたいと常々思ってるんだよ!」


了は、百の質問を華麗にスルーした。

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