第10章 自覚と恐怖 流血、残虐な描写あり
「皆 お疲れ様。高専の結界内だ。」
一時はどうなる事かと思ったが、私達はようやく高専の敷地へと戻って来た。
「これでひと安心じゃな‼︎」
「・・・ですね。」
ぐっとガッツポーズをする理子ちゃんの隣で、黒井さんは複雑な面持ちで俯いた。
ついに、きちゃったんだ…。
私はもうすぐ離れ離れになってしまう2人を前に、込み上げてくる熱いものを必死で堪えた。
「悟も本当にお疲れ。」
傑が五条に労いの言葉を掛ける。
護衛に就いてから五条はまともに睡眠をとっていなかった。
常に術式を回し続け、肉体的にも精神的にも限界はとうに過ぎているはず。
その証拠に今日はいつもより口数が少なく、目の下には酷い隈が出来ていた。
私も五条に歩み寄り、少しやつれた顔を覗き込んだ。
『五条、もう結界内だし術式解きなよ…
いい加減倒れるよ?』
するとフッと五条の術式が解け、肩の力が抜けたのが分かった。
「ーーー二度とごめんだ…ガキのお守りは。」
トスッ
『ーーーッ⁈⁈』
息が、、、時が、、、
まるで止まったかのように、身体が固まった。
無下限を解いたのを見計らっていたかのようなタイミングで突如五条の背後に男が現れ、背中に刀を突き刺した。